犬の中耳炎
2023.02.10
今回は犬の中耳炎についてお話しします。
犬の中耳炎の原因は大きく3つに分けられます。
1.二次性…慢性的な外耳炎により鼓膜が穿孔し中耳炎へと進行します。
2.原発性…中耳や耳管の炎症、耳管の機能不全等から起こります。フレンチブルドッグなどの短頭種やキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどに多いです。
3.真珠腫性…鼓膜が中耳側に陥凹することで角化上皮が詰まるタイプの中耳炎です。特にフレンチブルドッグに多くみられます。
中耳炎には以下のようにさまざまな症状があり、重度になると内耳神経に関連する神経症状を呈します。
✓耳を掻く、頭を振る、頭を床に擦りつける
✓耳漏
✓活動性の低下
✓痛みで口を開けたり食べたりしにくくなる
✓特に顔まわりを触ると怒る
✓難聴
✓捻転斜頸や顔面神経麻痺など
診断にはレントゲン検査やCT検査、ビデオオトスコープによる鼓膜の観察などが有用です。
↑CT検査でのフレンチブルドッグの中耳炎。正常では中耳の中は空気で満たされているので真っ黒に抜けますが、中耳に貯留物があると白っぽくなります。
治療には内服薬や点耳薬を使う方法や、ビデオオトスコープで中耳の洗浄を行う保存療法と、外科手術による根治治療があります。
特にフレンチブルドッグでは原発性や真珠腫性の中耳炎が多く、根本的な完治が難しいことがほとんどのため外科手術が適応となりますが、合併症や再発リスクもあります。できるだけ症状の軽い早期に診断をし、保存療法を行っていくことで、負担の少ない治療で長期的に安定する可能性は高まります。
少しでも気になる症状がある場合は、一度お気軽にご相談ください。
獣医師 小谷