CTブログ第2回 ~消化管内異物について~

CT担当獣医師の石田です。
第2回は動物病院でよく出会う病気の一つ、誤食による消化管内異物の症例を紹介したいと思います。

異物摂取について詳しくはこちらをご覧ください。
 <異物摂取について>(2021年9月の泉南動物病院コラム)

3歳半、日本猫の男の子です。
2か月前ほどからなんとなく食欲がなく痩せてきていて、よく吐いているという主訴で来院されました。
もともとビニールやゴムなどを食べてしまう性格とのことです。
腹部のレントゲンやエコー検査で胃内の異物が疑われ、胃を切開して異物を摘出する手術が必要とされました。

消化管内異物が疑われる症例では、
・消化管のどの部分に異物が位置しているか?
・異物による消化管穿孔や腸重積(腸が腸に入り込んでしまうこと)などはないか?
以上の確認のため、術前にCT検査を行います。



この症例では、CT検査でもやはり胃内に異物が確認され、同時に、胃以外は異常がないことが明確になりました。
CT検査後は全身麻酔をかけたまま、胃切開手術を行いました。


胃切開によってビニールや紐が大量に摘出されました。
なんと、何年も前のものだそうで、子猫のときに食べてしまってからずっと胃にとどまっていたようです😲

レントゲンとエコーでも消化管の検査をしますが、ガスや他の臓器と重なってしまい全域を正確に診られるわけではありません。
今までは開腹してからはじめて胃や腸を直接確認し、やっぱり腸切開も必要!と計画変更になることもありました。
術前のCT検査のおかげで、執刀医が事前にプランを立てることが可能になり、今までよりも安全に手術を行えるようになりました。

CT検査に関して、気になることがあればお気軽にご相談ください。

獣医師 石田