耳科👂診察 -4.パグ(短頭種)の外耳炎-

こんにちは。耳科担当獣医師の小谷です。
今回はパグの外耳炎についてご紹介します。

パグやフレンチブルドッグといった短頭種の耳は他の犬種に比べて耳道がとても狭いことが特徴です。

今回紹介するクッキーちゃんも細菌感染を伴う外耳炎を発症しなかなか治らず、全身麻酔下でオトスコープでの洗浄処置を行うことにしました。
先程述べたように構造的に耳道が狭く鼓膜の観察が出来ないため、まずはCT検査で外耳炎の評価や中耳炎の有無を確認しました。

※正面からみた断層像。(向かって右側が左耳、左側が右耳です。)矢印は狭窄してしまっている外耳道。

CTでは耳道がもともと狭いことに加え慢性的な外耳炎の影響で耳道が腫れてさらに狭まっていましたが、幸い明らかな中耳炎はありませんでした。

オトスコープ処置では耳道をしっかり洗浄し、奥に落ちて溜まってしまっていた被毛を除去しました。

↑オトスコープで見た耳道。見えにくいですが透明のカテーテルが入っています。とても狭いです。


↑鉗子で落ちている被毛を除去します。短頭種では細い耳道に被毛が詰まることでさらに外耳炎が悪化するのです。
クッキーちゃんも被毛が鼓膜を穿孔していました。


↑中耳の中の粘膜の様子。綺麗です。

処置後は点耳も頑張ったおかげで、悩まされていた痒みや耳垂れは落ち着きました♪

狭い耳道にたまった耳垢や被毛で慢性的な外耳炎となり悪化するわんちゃんは少なくありません。
短頭種の外耳炎の中には中耳炎を併発していることも多いので早めに対処してあげましょう☺

獣医師 小谷