全身麻酔って怖いの?
2022.01.12
こんにちは。
泉南動物病院で主に麻酔を担当している長尾と申します。
いきなりですが、全身麻酔に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
・小さい体にどれだけ負担になるだろうか
・麻酔から無事覚めてくれるか心配
・本当に麻酔をかける必要があるのかわからない
・高齢/心臓病/腎臓病など持病があるが大丈夫だろうか
・他の病院で麻酔はかけられないと言われた
全身麻酔への不安や疑問を抱えているご家族はたくさんいらっしゃると思います。
これらを少しでも解消できるよう、麻酔の必要性や流れについてご紹介します。
私たち人間の場合は、検査や治療が不安であっても「病気を治すために必要だから我慢しよう」と考えます。ですが動物は、そのようには考えられません。そのため、手術や検査が安全に行えることはもちろんですが、なにより動物を痛みや精神的ストレス(恐怖・不安)から守り、体の状態を良好に維持するために、麻酔が必要不可欠となる場合があります。
・麻酔前
麻酔は、どんなに若くて健康な子でもリスクが0にはならず、残念ながら100%安全とは言い切れません。
そのため、リスクとなりうる疾患がないかを検査で確認することが重要です。動物の状態を理解し、対策を立てた上で麻酔管理を行うことにより、リスクを最小限にし、より安全に実施することができます。
リスクとなる素因が明らかな場合は、麻酔による手術が本当に必要かをまず検討する必要があります。高齢や心臓病・腎臓病など疾患があるため麻酔がかけられないというわけではなく、麻酔のリスクよりも得られるメリットの方が明らかに大きければ、手術をすすめることも多いです。
・麻酔中
同じ手術内容であっても、動物の状態によって適切な麻酔薬は異なるため、当院ではその動物に合わせた薬を毎回選択しています。
麻酔中は体の異常な変化に気付けるよう、心電図・血圧・パルスオキシメータ・カプノメータ・体温などをモニタリングし、早期発見・早期治療を行います。また同時に、動物の反応を注意深く視診や触診でも観察し、痛みがないかなどを確認しながら麻酔管理を行います。
・麻酔後
痛みは動物の大きなストレスとなり、手術内容によって痛みの程度や持続時間は異なります。動物は言葉を話せず、痛みの表現方法も様々なので、痛みをどう評価するかも重要です。当院では動物の態勢や行動、表情、食欲などで痛みの程度を評価し、適切な鎮痛薬を選択しています。
このように、より安全に手術を受けていただけるよう、麻酔中だけではなく、麻酔前後も動物の状態を注意深く確認しながら管理を行っています。
当院では麻酔専門医をお呼びし指導して頂き、麻酔技術向上に努めています。
手術を受ける・全身麻酔をかけるということは動物とご家族共に不安になることです。
少しでもご不安な気持ちがあれば、お気軽にご相談下さい。
より安心して手術を受けられるよう、サポートさせて頂きます。
泉南動物病院 麻酔科担当 獣医師 長尾 有紀