軽視してはいけない病気 ~犬の外耳炎~
2021.04.09
暖かい季節になると増えてくる皮膚疾患のうちの一つ、外耳炎についてお話します。
・壁や地面に耳を擦り付けている
・耳が臭う、赤くなっている
・耳を触られるのを嫌がる
普通だと思っていた日常の行動、実は異常のサインかもしれません。
垂れ耳の犬種や、 元々の体質として脂漏症の犬種(トイプードル、シーズー、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリーバーなど)で見られることが多いですが、どんな犬種 ・年齢でも起こり得る疾患です。
上記に加えて、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、異物(植物や被毛の迷入)、ミミダニなどの寄生虫感染、 腫瘍、 免疫疾患など、 外耳炎が起こる原因は 多岐にわたります。
症状があるのが両耳なのか片耳なのか、急性か慢性など、病態も様々です 。
病態に合わせて適切な洗浄方法や点耳薬を用いて耳の痒みや腫れを抑えるのと同時に、原因となっている 疾患の治療も並行して行います。
改善に乏しい場合や再発を繰り返す場合は、ビデオオトスコープという耳の内視鏡を用いて耳道内や鼓膜をしっかり観察し、耳の奥の洗浄や適切な治療を選択します。
慢性化して耳が固くなってしまったものは手術が必要になる場合もあります。
また鼓膜の損傷や重度の炎症により、耳のさらに奥にある中耳や内耳にまで波及し、治療が困難になる場合もあるため、軽く見てはいけない病気です。
異常に気づいた場合は早めに受診しましょう。
原因がたくさんあるため必ず予防できる方法はありませんが、早期発見・早期治療を開始することで症状の再発や慢性化を防ぐことができます。
毎日見ているからこそ気が付きにくい変化もあるので、病院やトリミングで定期的に耳の状態をチェックしてもらいましょう。
少しでも気になることがあれば お気軽に獣医師にご相談ください。
獣医師 石田 海優