皮膚が硬くなったフレンチブルドッグ
2024.06.10
病気の症例皮膚科症例フレンチブルドッグの皮膚科症例
1日の診察の半分がフレンチブルドッグだった。そんな日もある皮膚科診療担当の横井です。
さて、今日の症例は「1か月半前から皮膚が硬くなった、痒みがあるけれどアポキルで痒みが良くならない。」という主訴で来院されました。
症例
フレンチブルドッグ 3歳1か月 去勢オス ちくわちゃん
1か月半前から皮膚が硬く、痒みがある。
かかりつけ医でアポキルを処方されたが、効果がない
ということで、来院されました。
診断と治療
皮膚を触診したところ確かに硬い。カチカチです。
病変部は脱毛さらに出血も認められました。
早速、皮膚病理検査で皮膚石化沈着症を確認。
ご家族からお話を聞くと、数か月に渡りプレドニゾロンというステロイド薬を投与されていたとのことで、医原性副腎皮質機能亢進症(医原性クッシング症候群)と診断しました。
お聞きした投薬量と期間を検討しても、ここまで皮膚の症状がひどくなることは一般的にはないのですが、パグやフレンチブルドッグは、この病気になりやすいようです。
その後は、アポキルが効かない理由を探し、現在はアトピー性皮膚炎もうまくコントロールできています。
ここまで読んでいただいた皆様は、ステロイドが恐ろしい薬だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
誤解してほしくないのですが、ステロイドは適切な用法、用量を守ればとても良い薬です。
ただ個体差があり、その症例に応じた量をこまめにモニタリングする必要があります。
この症例は私にとっても大変勉強になりました。
ワンちゃんの皮膚の症状でお悩みの方はご相談ください。
皮膚科担当獣医師 横井愼一