退職のご挨拶

こんにちは、愛玩動物看護師の道下です。
この度私事ではございますが、退職することとなりました。
以前はパピークラス、最近はシニア向けのイベントやマッサージなどを通して、たくさんの方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。

さて、院長のブログにもありましたが、先日アニマルスタッフのはぐが虹の橋を渡りました。
わたしにとっても大きな出来事だったので、思い出を少しブログに残させて下さい。

はぐの先代犬だったいちみ(ゴールデン・レトリーバー)は、わたしがお散歩につれて行った帰りに突然倒れ、そのまま急逝しました。いちみは9才でした。
当時2年目だったわたしは、目の前でいちみが亡くなり、頭が混乱して気持ちがさだまらないままでした。
動物看護師として年数を重ねるごとに、お散歩の時になにか異変に気づけなかったのだろうか?、何をどうすればよかったのか?と考えることが増えたのですが、考えても行きづまり、それ以上先へ進むことはできませんでした。

しばらくして、新しく子犬のはぐが来ました。いちみとはまた性格が違い、(わたしの中では)デリケートだけれど感情表現ゆたかでおもしろい子でした。
楽しいときの笑顔がとても可愛く、こちらまでぱっと笑顔になりました。
ふとお空のいちみを思い出して、はぐに何かあったときは、後悔しないように小さな異変も見逃さないようにしよう、と決めていました。

それは、思いがけないほどはやく来てしまいました。
長くないと分かってから、はぐらしく過ごさせてあげたい、・・・でもはぐらしくってどういうことだったっけ?と、いつものはぐを思い出そうとしますが、日々状況が悪化し、実際に目の前で辛そうにしているはぐを見ると、焦り、考えはまとまりませんでした。
きっと、他のスタッフもそれぞれ同じように感じていたと思います。

一時は状態が思わしくなく危険な日がありましたが、はぐはその日を頑張って乗り越えてくれ、少し元気になりました。
その後、はぐはおいしそうにごはんを食べ、よく寝て、たくさん笑って過ごしていました。
その時、はぐらしくってこういうことだと感じました。
はぐは、私たちに考える時間や思い出をつくる時間をくれたのだと思いました。

この時期に見せてくれたはぐの明るい表情で、焦っていた気持ちが、柔らかくほぐれていくのを感じました。
できることをしようと考えられるようになり、たくさん話しかけたり、ただそばにいたり、撫でたり、できる限りの思い出づくりもしました。

最後の日は、多くのスタッフがかけつけていました。
ベッドで落ち着いていたため、医局ではぐをかこんでみんなで過ごしました。


最後は、苦しむことなく大好きなスタッフたちの腕の中で眠りにつきました。
はぐがんばったね、ありがとう、大好き、と今度はたくさん声をかけることができました。
いちみの時は混乱し、亡くなってからもどう接すればいいのか分からなかったのですが、そうか、こうやってたくさん撫でて話しかければよかったんだな、と思いました。
そうできることで、こんなにも自分自身が救われるのだと知りました。
それもはぐが教えてくれました。
はぐがくれたあたたかく優しい時間でした。
はぐもしあわせに思ってくれていたら嬉しいです。

はぐのいない医局は静かで、もの足りなく感じます。
寂しく思う日が続きますが、思い出の写真や動画を見たり、遺骨に挨拶したりすると自然に笑顔があふれ、体がふっと軽くなります。

はぐ、ありがとう。
泉南動物病院で学んだこと、はぐが教えてくれたことを胸に、これから出会う動物さんとそのご家族の役に立てるように、そして自分のわんちゃんを幸せにできるように頑張るね。

愛玩動物看護師 道下