動物の眼科 第3回

おひさしぶりです。
泉南動物病院 眼科担当獣医師の伊原です。

今日は犬猫用コンタクトレンズについてのお話しです。
当院では犬猫用コンタクトレンズを治療に使用しています。

人間用コンタクトレンズは主に視力矯正を目的として使用されますが、犬猫用は目の表面(角膜)を保護するために使用されます。
当院では難治性の角膜潰瘍や慢性的な痛みを起こす角膜変性症(角膜の表面に硬くて白い沈着物が付着する病気)に使用することが多いです。

角膜には沢山の神経が通っており、小さな傷でもかなりの痛みが生じます。
人間でも目にゴミが入るだけでとても痛いですよね。
動物が眼を痛がっているときには、眼を細めショボショボし、涙が増えます。

犬猫用コンタクトレンズを装着すると、
1.角膜を刺激や乾燥から保護し、強い痛みをやわらげる
2.傷が治るのを促進させる効果

という効果が期待できます。

犬猫用コンタクトレンズは、毎日付け替えるわけではなく、数日から数週間挿入したままで過ごします。そうすると、コンタクトがきちんとついているのか不安になりますよね。
製品によっては青い点(ドット)がついており、コンタクトがついているのかを簡単に把握できます。

ではここで、当院の眼科特別診察を受診し、実際にコンタクトレンズを使用して治療したワンちゃんをご紹介します。

1.柴犬の凛ちゃん
この子は角膜上皮びらん(角膜表面の浅い傷)を何度も繰り返し、常に目が痛くてしょぼついていました。
通常の点眼による治療では改善しないため眼科特別診察を受診。
角膜上皮びらんに対して、コンタクトレンズを使用することで、目の痛みが減り、傷は無事に治りました。


2.ミニチュアダックスフンドのサリーちゃん
この子は角膜変性症という病気で、角膜の表面に硬い沈着物がつき、それが脱落した時に大きな傷ができました。常に目を痛がっているということで、眼科特別診察を受診されました。
コンタクトを使用する事で、眼の痛みが減り、角膜が瞼と擦れることも減ったので、角膜の変性症も徐々に改善していきました。


2頭ともコンタクトを挿入することで、痛みから解放されたことを実感できました。

当院では、眼科専門病院にお勤めの光本恭子先生による眼科特別診察を実施しています。
眼科特別診察は、当院が初診の患者様でも受けることが出来ますので、まずはお電話でお問い合わせください。
眼科専門外来について

*症状によっては、事前に伊原の診察をお勧めする場合がございます。ご了承ください。

獣医師 伊原