トイ・プードルのアトピー性皮膚炎
2021.06.01
病気の症例皮膚科症例トイプードルの皮膚科症例
犬のアトピー、アレルギー、外耳炎など、かゆい皮膚病の治療に力を入れている泉南動物病院 皮膚科担当獣医師 横井愼一です。
さて、今日の症例は
2年前から痒みが治らないトイプードルのココアちゃん7歳4ヶ月 女の子です。夜も痒くて眠れていないとのことでした。
・2年前に膿皮症と診断された
・抗生剤は効果なし。現在は薬用シャンプーを週2回行っている
・ずっと痒がっている
とのことで来院皮膚科を受診されました。
治療前です。
左耳は外耳炎、目の周り、口の周りも赤く腫れています。腹部には、丸く脱毛し赤く腫れているのが多数認められます。
皮疹をよく観察するために丸刈りにしたところ、特に胸やお尻周りが目立ちました。
一番驚いたのは左右の前足。パンパンに腫れています。
腹部の皮膚は赤く、丸く脱毛していることが目立ちます。
これは表皮小環(ひょうひしょうかん)と呼ばれ、ブドウ球菌と呼ばれる細菌感染があるときに認められる所見です。
食物アレルギーを疑い、皮膚によいと思われたフードをいろいろ試しのですが、どれも改善には至らなかったとのことです。
KEY
本症例のキーワード
・眼のまわりの炎症、外耳炎、特に口やお尻の炎症、かゆみが目立つ
・多数の表皮小環
・非季節性のかゆみ
・眼のまわりの炎症、外耳炎、特に口やお尻の炎症、かゆみが目立つ
・多数の表皮小環
・非季節性のかゆみ
● 診 断 名 ●
アトピー性皮膚炎
<治療計画>
食事歴を問診し、いままで食べたことのないタンパク源が含まれたドッグフードに変更していただきました。
ブドウ球菌の感染は抗生剤を服用するとともに、病院付属のトリミング室で炭酸泉と抗菌シャンプーを使用し薬浴していただいたところ、少しまだ皮膚の赤みは残りますが、1週間でほぼかゆみがなくなり、足の腫れも改善されました。
<治療一週間後>
食物アレルギーはその子の食事の中に含まれる特定のタンパク源が原因と考えられていて、トイ・プードルにも多いとされています。
残念ながら、その原因となるタンパク源は毛の検査、血液検査で正しい診断はできません。
通常、除去食試験といって、特定の処方食と水のみを与えて痒みが出ないか診断します。
通常効果が認められるまで1ヶ月はかかるのですが、当日に適切な炭酸泉など抗菌シャンプーによる薬浴やスキンケアができたのが奏功しココアちゃんは1週間で明らかな改善が認められました。
おまけのビフォア・アフターは11ヶ月後です。
食事制限のおかげでダイエットにも成功しました!
今は、スキンケアを継続して頂き、現在は月に1回のかゆみを止める注射で良好に維持できています。
そのおかげで再発もなく、夜もぐっすり眠れて健やかな毎日を過ごしています。
<ご家族からのメッセージ>
最近は酷い痒みもないようで良かったね。
症状が悪くならないように、好きなものもあげられないけど、少しでも長く一緒にいたいので、お互い我慢しましょう(*^_^*)
犬や猫の皮膚のかゆみ、脱毛症でお悩みの方は一度ご相談ください。
院長 横井