柴犬のアトピー性皮膚炎
2020.10.03
病気の症例皮膚科症例柴犬の皮膚科症例
柴犬のアトピー・アレルギーなど、かゆい皮膚病の治療に力を入れている泉南動物病院・皮膚科担当獣医師 横井愼一です。
久々の、動物皮膚科の気まぐれブログアップです。
前回いつブログをアップしたのか確認したところなんと、3年前!
気まぐれすぎる…
今回の症例は、生後6ヶ月からかゆみを患う柴犬5才、女の子の小夏ちゃんです。
抗生剤とステロイドを処方されているが、現在はほぼ効いていない。
アポキルも全く効果なしとのことでした。
病院からの療法食を与えたが、全く改善が認められなかったので、ネットで調べて色々与えてみたが改善はなしとのことでした。
散歩にも行きたがらず、部屋に閉じこもって1日中体をかきむしっているとのことでした。
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・ステロイド、アポキルが効かない
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治療前です。
全身の毛が薄いだけでなく、特に脇や股の部分の脱毛や炎症症状がひどいですね。
この子の症状で特に目立ったのは、四肢の外側やしっぽです。
尻尾だけ見ると、まるでネズミみたいです。
ここは足でかけないので、ずっと口でかじっているとのことでした。
● 診 断 名 ●
マラセチアの二次感染を伴う、アトピー性皮膚炎
皮膚検査では、マラセチアの二次感染が認められたので抗真菌剤と抗真菌シャンプーを処方し、お家での3日に1回のシャンプーとステロイドの内服薬、ステロイドの外用薬塗布をお願いしました。
比較的若い時期から痒みがあったとのことで、食事歴から今まで食べたことのない蛋白を使用したフードを処方しました。
ご自宅でのスキンケア治療と、内服薬による感染の管理が功を奏し、1ヶ月後にはほぼ痒みのない状態にまで持っていくことができました。
5ヶ月後の現在です。
ダイエットにも成功して内面から美しくなりました!
黒い色素沈着もキレイに!
立派な柴犬の尻尾に!
ステロイドの長期使用についての副作用が懸念されたため、現在の痒みの治療はアポキルです。
この症例はアポキルが効かないのではなく、アポキルの効果を最大限に引き出せるように、二次感染を管理してあげることが重要でした。
更に2ヶ月前からアレルギー体質の改善を目的に減感作療法をアポキルでの治療に組み合わせて行っております。
脇や股の炎症や脱毛が改善したのはもちろんのこと、立派な毛並みの尻尾に戻って、うれしいですね。
柴犬のアレルギー、アトピー性皮膚炎については心因性いわゆる人の心療内科で行う、メンタルケアが必要な場合もあります。
幸い、この子は痒みを管理したことが、メンタルケアにもなったようで、痒みが落ち着くことで次第に性格も本来の明るさを取り戻し、
無理やり連れ出していた散歩にも積極的に行くようになったとのことです。
ついでに食事指導も行い、ダイエットにも成功して随分スマートになりました。
ご家族は散歩に行くたびに
「ハゲてるけどどうしたの?」とか
「あら、随分年取ったおばあちゃん犬ね。」とか言われて散歩に行くもの憂鬱だったとのこと。
今では、「キレイな毛並みになったわね」と、みんなに褒められ、散歩に行くのが楽しいと笑顔で話してくれました。
動物が幸せになることで、ご家族も幸せに笑顔になる。
いまさらですが、獣医師をやっていてよかったなぁと思う瞬間でした。
院長 横井
୨୧┈┈┈┈┈記念撮影┈┈┈┈┈୨୧